音質は録音するデッキにより大きく左右され、大抵は高額なデッキほど高音質になる傾向があったため、廉価デッキしか持てない大衆ユーザーは、雑音混濁・音のこもりなど、録音での音質劣化を許容せねばならなかった。またダビング録音には通常、レコード及びテープの実再生時間を要し、手間が掛かった。ダブルデッキ式のレコーダーには倍速、3倍速駆動録音の機能を備えた事例も多かったが、録音音質の悪化やテープ負荷の増大は避けられなかった。
構造的に頭出し・リピート等が難しく、テープ進行に伴って回転する付属のメーター(カウンター)でテープ進度を確認するしかなかったが、このカウンターの精度にもデッキによる個体差を伴った(これまた廉価なデッキでは
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が低かったのである)。中級以上のデッキではテープの音声の有無によって急速頭出しを図る機能もあったが、これはヘッドとテープの強い摩擦を伴い、テープ自体に大きなダメージを与えるものであった。
これらの課題を根本解消するのは難しく、1980年代以降からCDなどのデジタルオーディオが普及し、安定した
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化や容易な選曲が可能となる、ランダムアクセスに慣れた音楽を聴くユーザーからは、次第に敬遠される傾向になっていった。
1990年代中盤にはコンパクトカセットの後継として、音声データの記録をデジタルで録音・再生でき、コンパクトカセットとの再生互換性を持たせたデジタルコンパクトカセット(DCC)がフィリップスとパナソニックとの共同開発で誕生した。ほぼ同時にソニーから登場したミニディスク(MD)とポータブルオーディオ戦争を繰り広げるかと思われたが、音質ではミニディスクを凌駕していたものの、
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カセットの録音がDCCレコーダーでできなかったこと、テープ方式を引きずったことで結果的にMDの圧勝に終わリ、DCCは姿を消した。
1990年代後半にかけてポータブルMDプレーヤーなどの小型化、再生時間の長時間・大容量化が進み、日本の若年層ユーザーはそれらの新しいメディアへ移行するようになっているが、小売店では売価2,000〜5,000円程度のモノラルラジカセ、CDラジカセと録音済音楽テープが引き続き廉売されており、取り扱いが簡易なこともあって主に
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のコンパクトカセット支持は根強い。
また発展途上国や一部の先進国でも、音楽・音声用メディアとして今なお広く使われている。
派生的用途
コンパクトディスクやMD対応デッキの普及により、
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コンパクトカセットデッキの種類は次第に数が少なくなっていった。しかし近年iPodを始めとする大容量携帯プレーヤーをカーオーディオで聞くユーザーの間では、FMトランスミッターに比べて音質劣化や電波干渉を受けにくいコンパクトカセット型のカセットアダプターが珍重される傾向があり、そうした層からは従来の「テープを使用する道具」とは別の観点から、高品質なコンパクトカセットデッキが再評価されつつある。
またコンパクトカセットは、1980年前後を中心に、初期のパーソナルコンピュータの記憶メディアとして
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ユーザーを中心に広く利用され、専用の製品も発売されていた(データレコーダも参照のこと)。しかしその後、本格的なデータ用メディアであるフロッピーディスクの低価格化と普及に伴って、利用されなくなった。1980年代前半に人気のあったMSXではカセットテープでのゲーム発売なども行われており、近年の復刻が困難になる一因となっている。「ピーガー音」による読み書き音を懐かしむ世代も多い。
録音は、先祖にあたる
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と同じ、交流バイアス法による磁気記録が主流である。テープが消磁された状態では磁性体の残留磁気はランダムな方向に並んでいる。音声信号から
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された録音ヘッドの磁力により磁性体を磁化させて記録する。再生は、逆にこの記録された磁気をヘッドで読みとり、アンプで増幅する。 走行速度は厳密に決められている。一般にはカウンターの回転速度が加速度的に変化することから、テープの速度も変わると考えられているが違う。これは、モータでアクティブスクレープローラとキャプスタンを連動させ、これらをテープを合成ゴム製のピンチローラーで挟んで一定速度で送ることにより、毎秒4.75cm(1.875インチ)の走行速度を保つ構造になっているからである。カセットが普及した理由のひとつに、愚直なまでにこの単一速度を遵守したことも挙げられている。他の速度モードを持つ機器もあるものの、それらはあくまでも独自仕様である。尚、この4.75cm/sという速度は、オープンリールの速度オプション中で多くの場合最も低速となる9.5cm/sの半分であり、音質としての性能よりも取り扱いの簡便性を重視した設計であることがわかる。そのため、僅かな誤差はJIS規格でも許容するので、他機器で録音されたテープを正確に再現したい音楽再生の場合は、可変ピッチコントローラで修正してやることが
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になる場合が非音楽用カセットデッキではある。
トラック構成は2トラック/1チャンネルのモノラルまたは4トラック/2チャンネルのステレオで、表裏にあたるA/B(メーカーによっては1/2表記もある)各面を、テープ終端になった時点で裏返して使用する。テープ幅は3.81mmで、例えばステレオ(片チャンネル分)の場合、ここからA/B面間と左右チャンネル間の遊び(クロストークを低減する為のガードバンド)を除いた約0.61mmが実際の録音に使用される幅となる。このA/B各面に、モノラルの時には1トラック/1チャンネル、ステレオの時には2トラック/2チャンネル(右/左)が割り当てられる。 モノラルの1トラックと同じ部分にステレオの場合は左右各チャンネルが分割して録音される方式のため、ステレオ録音のテープでもモノラルのデッキ(レコーダ)で再生出来、その逆も可能である。これは、当初はモノラルのみで製品化されて後に音楽用途に合わせてステレオが追加された経緯から、互換性を図ったもの。ただし、初期のLL機では、2トラック2チャンネル(B面用のトラックを第2トラックとして使用)も存在した。 尚、オープンリールテープの場合は音質優先(クロストーク忌避)のためにステレオとモノラルのトラック配置が異なっており、再生時の互換性はない。
収録時間は、片方向15分〜75分、両面で30分〜150分録音できるものが標準的に売られている製品で、それぞれC-30からC-150と呼ばれる。バルク品とエンドレステープを除くタイム・バリエーションとしては、C-0(補修用のハーフ+リーダーテープ)、C-5、C-6、C-8、C-9、C-10、C-12、C-15、C-16、C-18、C-20、C-22、C-30、C-36、C-40、C-42、C-45、C-46、C-48、C-50、C-46+5、C-52、C-54、C-55、C-60、C-62、C-64、C-65、C-60+5、C-70、C-74、C-75、C-76、C-80、C-84、C-90、C-92、C-94、C-90+5、C-100、C-108、C-110、C-120、C-120+5、C-150がある。当初はC-30、C-45、C-60、C-90、C-120の5種類だったバリエーションが、富士フイルムのFXシリーズでC-80が登場し、C-45がC-46に変更(片面時間の小数点表記が録音時間とテープスピードの誤差に対して意味を持たなかったため)、ナガオカ産業による+5minシリーズ登場、TDKのADシリーズによるC-54の追加、パソコン記録用のソニーC-10、C-15の登場、後に音楽ソフトがCDへと移行していくと、シングル(20〜22分)アルバム(70〜80分)に対応した製品が登場していく。その最初はソニーのCDixTとCDixUで、C-50からC-80までは5分刻みのラインナップであった。この時のC-75が後のC-74に、そして後にC-65がC-64に収斂していく。珍しいところでは、SANYOとNationalとTEACがC-46の2倍ということでC-92を採用したことがあったり、太陽誘電(That's)がスモール・ハブを使うことによってC-90テープ厚でC-108を実現したりしたこともあった。また近年では、カラオケ練習用や
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などに1曲だけを演奏するのに便利な短尺の製品(C-10,C-20)も販売されていた。C-150というのは最も晩年になって追加された日本発売の最長モデルである。規格としては両面180分のC-180や両面240分のC-240もあるが、耐久性の問題(テープ厚はC-180で6.5μm、C-240で5μm)もあり製品は殆ど存在しない(TDKの輸出モデル)。 尚、収録時間によってテープの厚みが異なり、標準タイプのC-60で約18μm、
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タイプのC-90でその2/3の12μm、超長時間タイプのC-120で半分の9μm・・・と段々薄くなる。なお、この数値は磁性層4.5μm(メタルテープは3.5μm)を含んだ厚さであり、テープの長さが変わっても磁性層の厚さは変わらず、ベースフィルムの薄さにのみ影響する。このため、長時間録音になればなるほど耐久性は当然悪化し、高温下で伸び易く、又は過剰なテンションによって切れ易くなる。温度変動が大きい高負荷環境にあるカーステレオや、緻密な走行制御を要する高級テープデッキでC-90以下の使用を推奨しているのはこのため。 最近ではテープ速度を遅くして長時間録音できる「2倍モード」(ソニーのレコーダーに搭載)や「3倍モード」(パナソニックのレコーダーに搭載)などを搭載したレコーダーもあるが、これらの機能は会議や語学・学習を長時間録音するもので、高い周波数まで再生できないので当然ながら音楽の録音には適していない。